タレントの板東英二氏が、昨年11月に釈明会見を行い、植毛していたことを告白。
「カツラは経費として落ちると聞いていたので、植毛も落ちると思っていた」と申告漏れの経緯を説明した。約7500万円という巨額の申告漏れの説明としては物足りなさが残るが、そうした疑問もカツラと植毛のインパクトにかき消された印象だ。実際、薄毛対策はどこまで経費として認められるのか。税理士の岩松正記氏の見解はこうだ。
「カツラが経費として認められるかどうかは微妙です。芸能人は見た目が大事といっても、事業用なのか私用なのか、分けられませんからね。ただ、カツラのコマーシャルに出るなど、商売上明らかに必要だというストーリーがあれば認められる可能性は高い。それは植毛も同じ。美容整形だからアウトという見方もありますが、結局は堂々と説明できるかどうかです」
ところで、サラリーマンは、仕事の経費を計上できないから関係ないと考えている人は多いだろう。しかし、そう決めつけるのは早計だ。
まずサラリーマンの経費控除の仕組みから説明しよう。スーツや靴は基本的に自腹。個別の経費は控除できないので、代わりに、あらかじめ一定額を年収から控除されることになっている。それを「給与所得控除」という。給与所得控除額は給与額によって決まる。たとえば年収700万円なら190万円だ。
しかし、なかには給与所得控除以上に経費がかかってしまうケースもある。その場合は超過分を控除できることがある。それが「特定支出控除」だ。
従来、特定支出控除の対象は通勤費や転居費、研修費などにかぎられていた。来年の確定申告分から、図書費、衣服費、交際費などの勤務必要費(最高65万円まで)や弁護士、税理士などの資格取得費まで対象が拡大。たとえば社内規定でスーツを着なければいけないならスーツ代が、また営業のために業界新聞や専門誌を購読しているならその代金が特定支出になる。