その最たるものが「My日経」という機能。これは、これまでにその人が「日経電子版」で読んだ記事の種別から、「その人に重要と思われる記事」をランキング形式で表示するもの。時間がないときは、そこをチェックするだけでも、興味がある記事を見つけやすくなる。画面上のジャンル情報をクリックしていけば、「自分が好みのジャンルの記事だけが掲載された日経新聞」をつくり、短時間で読めるようになる。

デジタル編成局編成部・次長の八田氏は「生まれたばかりの電子版を外からの意見を取り入れて育てたい」と語る。
デジタル編成局編成部・次長の八田氏は「生まれたばかりの電子版を外からの意見を取り入れて育てたい」と語る。

携帯電話との連携も同様の考えだ。各記事には「保存」というボタンがある。これは、パソコンの中に記事を保存するボタンではない。日経側のサーバーに記事を「あとで読むもの」として登録するボタンだ。読む時間がないときは、このボタンをクリックしておこう。すると、その記事は携帯電話や別のパソコンからも、簡単に呼び出して読めるようになる。

「時間のないビジネスパーソンに、日経の紙面をもっと活用していただきたい」(八田氏)

イメージ公開はそのための一手法でしかなく、本質は「紙版が持っていた膨大な情報を、電子版でもきちんと提供すること」にあるのだ。一見単なる「ウェブ版」に見えるが、その情報密度はまったく異なる。

とはいえ、価格が新聞購読者向けで1000円プラス(東京・朝夕刊セットの場合で5383円)、電子版のみで4000円というのはいかにも高額だし、操作方法もわかりづらい。ユーザーの声を聞き、いかに使いやすいものに変化していけるかどうかにかかっているといえる。

※すべて雑誌掲載当時

(澁谷高晴=撮影)