また、男性は右脳で物事を捉え、女性は左脳で考える――そんな話を聞いたことがあるかもしれません。右脳は空間認知能力、非言語の情報処理、左脳は言語能力などを司っているとされます。女性は男性に比べて、左脳と右脳を結ぶ神経繊維の束である「脳梁」の後部が太い傾向があります。メカニズムはまだ解明されていませんが、女性の言語能力の高さは、太い脳梁のおかげで、左右の脳の情報伝達がスムーズだから、という仮説があります。また女性のほうが長寿である理由について、脳が関係しているという説も唱えられています。女性のほうが脳血流が多く、それが脳細胞を活性化させているというのです。
さらに性差について興味深いポイントは、女性より男性のほうが個人差が大きいという傾向です。
4つのグラフは、英国の認知能力テスト(CAT)のスコア分布です。これをみると「言語的推理」の上位10%を除き、すべての試験において、男子のほうが上位と下位の人数が多いことがわかります。
これは学力テストに限ったことではありません。生物学的には、メスよりオスのほうが身体的なばらつきが大きい。ヒトにおいても、男性のほうが体重や身長のばらつきが大きいのです。グラフにしたときには、女性は平均値近くが盛り上がりますが、男性のグラフはよりなだらかな山を描きます。
こうした傾向は、無意識のうちに、女性が数学や科学のキャリアを諦めることにつながっている恐れを示しています。