愛子さまのラオス訪問が示す外交の真義
愛子内親王がラオスを訪問したのは、2025年11月である。
その年の1月、日本とラオスは外交樹立70周年ということを機に、従来の戦略的パートナーシップを、より緊密な「包括的・戦略的パートナーシップ」へ格上げしている。
二国間のパートナーシップと言ったとき、それは、特定の分野での協力を目的とした「パートナーシップ」から始まる。次が「包括的パートナーシップ」で、それは経済、文化、技術などの協力分野を多角的に広げた段階を意味する。
その次が「戦略的パートナーシップ」で、政治や安全保障分野での協調が強化され、地域や国際社会の課題に対し共通のアプローチをとる段階を意味する。
そして、「包括的・戦略的パートナーシップ」になると、政治、安全保障、経済、軍事など、全方位において最も緊密な協力を展開することになる。これが最高位の段階になる。
つまり、日本とラオスが最も緊密な協力関係を結んだ後に、愛子内親王が現地を訪問したわけである。
もちろん、愛子内親王がラオスでの晩餐会におけるスピーチで“格上げ”について言及したわけではない。ただ、手首に糸を巻く「パーシー」という儀式を体験しており、それは日本とラオスとの友好関係が強いものであることを強調する形になった。
「戦略的」な皇室外交の内外への影響
愛子内親王の訪問の背景に、パートナーシップの格上げという外交上の戦略が潜んでいることは否定できない。ただしそれを、日本やラオスが愛子内親王の訪問と結びつけたら、それは政治利用として必ずや問題視される。
しかし、訪問はあくまで外交関係樹立70周年の記念という形をとっており、そこに政治性が見いだされ、批判の対象になることはまったくなかった。
これは随分と賢いやり方である。
外交関係の記念の年にパートナーシップの格上げを行い、両国の関係をより緊密にした上で、天皇や皇族がその国を訪れる。それによって、パートナーシップの強化が目に見える形で表現される。
それは、皇室外交を、これまで以上に重要なものとすることに貢献している。
しかも、今年の内親王単独によるシンガポール訪問は、「愛子天皇」待望論をさらに高めることになるかもしれないのである。
