いまどき「一致団結」などという言葉は、いかにも古色蒼然としている。あまり使われることもなくなった。しかし、「第一の敗戦」である1945年8月15日を境に、日本はすべての国民が、それこそ一致団結して戦後復興を目指し、高度経済成長を成し遂げ、世界第2位の経済大国になった。

被災地を救済し、復興させて、再び日本と日本人の自信を取り戻す。今度は「第二の復興」こそ急務だ。日本は1000兆円という借金を抱えて、10兆円をはるかに超える復興資金の調達を不安視する声もある。日銀に国債を買い取ってもらうなど、この非常事態を前にすれば躊躇すべきではない。

こうしたことも含めて、復興には強いリーダーシップを持った首相と政権が必要で、これを菅政権に期待することはできないと思うかもしれない。しかし、国を挙げての復興に、一人の強力なリーダーシップはまったく不要である。

戦争で焼け野原となった日本は、復興のための資金もほとんどなく、技術もなかった。国は当初、繊維など軽工業で復興を目指したが、多くの経営者は、国と経済を再生させるのは重工業ということで、その復活にチャレンジした。

後に、国もこれを後押しすることになった。資金は世界銀行から調達した。国民も労働という形で支えた。このように、日本人の一人一人が、戦後の復興という大目標に向かって、リーダーシップを発揮した。

幸いなことに、大震災後、暴動ひとつ起きていない。当たり前だと思うかもしれないが、ほかの国では考えられないことである。日本人は、この精神を大いに誇るべきだ。

完全に復興するまでに、おそらくこれから数年はかかるだろう。しかし、この国難に一人一人がリーダーシップを持って立ち向かえば、必ず日本は再生する。

(山下 諭=構成 小原孝博=撮影)