「死にたくない」という本能的な恐怖

首二つ取っている、つまり二人の武士を殺している人はほとんどいなかったということが分かります。つまり、この頃ですら「一人殺すのも大変なことだった」。それが戦いのリアルだということになります。人の命を奪うのはもちろん、自分の命を奪われるのはイヤだ。痛い思いをするのもイヤだ。

そういう自分自身の体にもとづく感覚(身体性)は、人間にとって普遍的なものじゃないのかなと思います。そこから発想してみると、一体どういう状況になれば人間は「自分の命を差し出そう」と思うのでしょうか? まさに強い軍隊というのは、兵隊が命を投げ出しても構わないと思えるような環境の整った軍隊なのでしょう。それが次の問題です。

ときは、平安後期から鎌倉はじめにかけてのことです。