殺人事件の半数は親族間で起きている

【千葉】このマインドセット、つまりいつでも相手のことを考えるマインドってどう身につければいいのでしょうか。

【澤】特別なところに答えはないんです。いまコンビニの例を出しましたけれども、「常日頃、ちょっとしたことに気を抜かない」。これに尽きます。

【千葉】「ちょっとしたことに気を抜かない」。

【澤】どういうことかというと……千葉さん、会話で一番「油断」する相手って誰ですか。油断して話す相手。

千葉佳織『話し方の戦略』(プレジデント社)
千葉佳織『話し方の戦略』(プレジデント社)

【千葉】家族ですかね。

【澤】そうなりますよね。すごく極端な例を出しますね。殺人事件の約半数は親族間で起きてるんですよ。

あくまで極端な例ですけどね。これって、わかりあえていればそんなこと起きないはずじゃないですか。わかりあえる対象として親族ってあるはずなのに、殺人にまで発展するって、深刻な話ですよね。つまり、親しければ親しいほど、コミュニケーションに油断しちゃダメなんです。

【千葉】いや、本当ですね。

自らの「コミュニケーションのありよう」を定義する

【澤】そういった日々のコミュニケーションに手を抜かないということが、実はトレーニングとして一番効きます。特別な何かというのではなく、一番培えるのはちょっとした生活の中なんですよ。そこでの言葉遣いや話し方、声のトーンといったところで、どれだけ気を使ってちゃんと調整ができるようになるかということが大事です。

例えば、僕はかみさんのことを絶対「お前」とは呼びません。基本的には「さん」付けです。

【千葉】そうなんですか!

【澤】「バカ」とか「やってんじゃねえよ」みたいな汚い言葉も使いません。そういうのって、プラスにならないのがわかりきっていても、反射的に言ってしまう人もいると思うんですよ。

すごく丁寧な物言いをしようとまでは言いませんが、ちょっとした言葉遣いにお互いに対するリスペクトの有無が出るので。常日頃のコミュニケーション、言葉選びを丁寧に丁寧にするくせをつけていると、いざというときの振る舞いがまったく変わってきます。

【千葉】私も意識しているのが、「コミュニケーションのステートメントを決めておく」ことなんですよ。「私は強くて優しい人間でありたい」「私は人の成長を心底から願える人でありたい」という。

千葉佳織さん
写真提供=カエカ

【澤】あぁ、いいですね。

【千葉】そういうステートメントがいくつかあるんですよね。そういう状態で家族や顧客と話すことも、一つのやり方ですよね。

【澤】まったく同じマインドですね。主語が「私」なのがすごくいいですね。