個人年金保険には、支払った保険料が米ドルやユーロ、豪ドルなどの外貨で運用されるタイプもある。円高の今、「外貨で運用すれば儲かる」と考える人もいるようだが、これもお勧めできない。
理由は、保険コストや契約維持費、為替手数料などのコストが高いこと、また契約時点で将来の年金原資の額は決まっているが、あくまで外貨ベースであり、円で受け取る場合はそのときの為替レートの影響を受けるためだ。外貨で運用したいのであれば、外貨建てMMFや外国債券、外国債券で運用される投資信託など、普通の金融商品を利用すればいい。
中でももっとも手軽なのは、比較的格付けの高い、国債などの短期債券を中心に運用される外貨建てMMFだろう。主に証券会社などで扱っており、購入時は円を外貨に替えて購入、換金時には円に戻して受け取る。米ドル建て、ユーロ建て、豪ドル建てなどがあり、1万円程度からいつでも購入・換金できるため、為替差益も狙いやすい。安全性も高く、一般的に銀行が扱う外貨預金より利回りも高い。往復で為替手数料がかかるが、大手ネット証券などであれば往復で40~50銭(証券会社により異なる)と、低コストだ。コストは収益の足を引っ張る大きな要素であり、コストが低い商品を使うことが運用の大原則なのは、老後資金づくりにおいても同じことだ。
状況によっては、確定拠出年金(401k)も上手に利用したい。確定拠出年金とは会社が将来の退職金の原資を毎月拠出し、会社が用意した中から従業員自らが金融商品を選び、運用していく制度である。現在、導入されている企業とそうでない企業があるが、自営業を対象とした「個人型」もあり、銀行や証券会社などを窓口として積み立てができる。
積み立てるお金は所得から控除されるほか、運用期間中に生じた利息などが非課税となるなど、税制上のメリットが多い(受け取る際には退職金や年金として課税)。金融商品は勤務先や取扱会社によって異なるが、預金商品、保険商品、投資信託など複数が揃えられており、元本が確保されているものから、収益性重視のものまでさまざま。その運用成果によって退職金などの額が決まる。