前夫・為二が語った「鳥取の布団」

「鳥取の布団」はこんな話です。鳥取で小さな宿屋が開業し、一人の旅商人の男が泊まった。布団から「あにさん寒かろう」「おまえも寒かろう」という子どもの声が聞こえてくるのに目を覚まし、幽霊だと訴えた。

宿の主人は最初、そんな話を相手にしなかったのですが、同じような現象が続き、とうとう主人自身も布団がしゃべる声を聞いてしまったそうです。原因を突き止めるため、布団を購入した古道具屋に事情を尋ねると、こんな悲しいわけが明らかになりました。

その布団は、鳥取の町はずれにある小さな貸屋の家主から古道具屋が買い入れたものでした。その貸屋には、貧しい夫婦と二人の男の子が住んでいましたが、夫婦は息子たちを残して相次いで死んでしまいました。残された二人は家財道具や両親の残した着物を売り払い、どうにか暮らしてきましたが、ついに一枚の薄い布団を残して売るものがなくなってしまいます。