小学2年生の時点で検査していれば…
普通に考えて小学1~2年生の子が小学4年生に混じって一緒に授業を受けていたらどうなるでしょうか。先生が何を言っているか、ちんぷんかんぷんです。九九もおぼろげですし漢字も身についていないので小学4年生の教科書が理解できません。次第にやる気がなくなるのは当然だと思います。
また同級生との会話にも当然ついていけないので、対人関係のトラブルも増えてきます。そうなると学校に行きたくなくなるのは容易に想像がつきます。
やはり問題だと思うのは、小学2年生時に来所されたときにそのときの担当者から「様子をみよう」と言われそのまま経過観察にされたことでしょう。小学2年生で漢字や九九が身についていないと小学3年生からの授業に全くついていけなくなります。特に九九が分からないと算数はほとんどできないはずです。小学2年生で様子をみること以外に何かできることはなかったのか、悔やまれるところです。
小学2年生であれば、知能検査といくつかの検査を組み合わせてアセスメントすれば境界知能かどうかは分かります。今の教育センターといった教育機関でも、境界知能の認知や支援システムは不十分なこともあるのです。
数学や英語でつまずき、自信を失う
もし、そのままC君が相談に来ず境界知能に気づかれないまま中学校に進んだらどうなるでしょうか。中学校ではますます問題が複雑になってきます。ただでさえ思春期もあってしんどい時期に、勉強が難しくなり、より優劣がはっきりして同級生と比較され続けます。
中学1年生では境界知能であれば精神年齢が9~10歳程度と小学3~4年生のレベルですので、数学の方程式や英語の大半が理解できないでしょう。授業はびくびくしながら座っているかもしれません。これまでのケースから想定すると定期テストは5教科500点満点でだいたい100~150点くらいです。つまり各教科20~30点くらいしか取れません。成績は5段階で2が多いと思われます。
こういった中で本人は自信を保つのがどんどん難しくなってきます。さらに部活等で先輩後輩ができ、恋愛もします。身体が親よりも大きくなって力関係が逆転することもあります。親に対して反発と依存を繰り返しながら次第に落ち着いていくのですが、先生や親から叱責を受け続けたりすると反発や被害感に傾いていきます。

