外交官という夢に父が反対した理由

「組織の奴隷になるな」
組織の中にいても独立自営の精神を持つ

正確にいえば「法律、組織、機構の奴隷となるな」と出光佐三は述べた。それは若い頃から「自主独立」の精神が根底にあったからだろう。神戸高等商業学校を卒業した佐三は酒井商会へ入ったが、当初、佐三は外交官を志望していた。しかし父親の反対に遭ったことで、進路変更を決めたのである。

「外交官といったって、お上の都合一つで、電話一本で、自分の意思とはなんの関係もなく、どこへ飛ばされるか判らんではないか。そんな不安定な仕事がなんになる。それよりは、商人になれ」と父はいった。なるほど、と素直に納得したのである。

佐三の「自主独立」の精神もまた学生時代の体験に基づくものだった。しかし、遮二無二働き、組織が拡大すると矛盾が生じてくるものだ。