今年はサンマが豊漁だ。時事通信社水産部の川本大吾部長は「獲りすぎに伴う休漁措置が十数年ぶりに実施されたほどだが、サンマの資源状況が回復したわけではなく、この状況がいつまで続くかは未知数だ」という――。
サンマの塩焼き
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不漁続きだったサンマが今年は豊漁

この5年ほどサンマの不漁が続いていた。国内の水揚げ量は2014年までの約30年はおおむね20万トン以上で、2008年には35万トン近くに達するほど好調だったのだが、一気に激減。年間数万トンしか獲れなくなってしまったのだ。

ところが今年はようやく水揚げ量が増加。北海道や岩手、宮城県などの漁港から「豊漁」のニュースが届いた。昨年までのように紳士用ベルトくらい細いサンマではなく、大ぶりで脂ものっている。この10月までに間に秋の味覚を堪能した人も少なくないだろう。

ただ、サンマがにわかに獲れだし、今後もたくさん食べられると考えるのはまだ早い。水産資源の研究者によれば、「太平洋全体のサンマ資源量は昨年と大差ない」と、決して今も不漁期を脱してはいないと見られる。シーズン後半に入った今、急にパタッと獲れなくなり、再びほっそりしたパサパサのサンマしか味わえなくなる可能性もある。

【図表】サンマの水揚げ量推移
全国さんま棒受網漁業協同組合」発表資料より作成