取調べ中での一番の敵
電話による一番嫌な中断の場面は、調書作成のために口授しているときだ。口授は、頭の中で整理した文章を立会事務官に短く細切れに伝えるが、それが、電話で、頭の中の文章が吹っ飛んでしまい、その後の文章が続かなくなるのだ。だから、検事にとって取調べでの一番の敵は、実は電話なのだ。
身内とはいえ、電話をかけてくる田舎の母親には閉口した。当時は携帯などなく、時折、勤務中に電話をかけてくる。こちらの緊迫した状況を伝えるわけにもいかず、また無下にするわけにもいかず、その度に冷や汗をかいた。
対策として、取り調べるときは、事前に立会事務官から電話交換手に「今から取調べに入るので、外線はつながないでほしい」と連絡を入れるようにしてもらった。理想的な取調べの空間は、電話のない部屋である。しかし、そんな部屋は、当時の警察署内にはほとんどなかったように記憶している。
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