痩せた妻が以前よりも愛おしい

入院から1カ月がたち、歩けるようになった暢を元気づけようと、やなせは病院に愛犬・チャコを連れて行ったこともある。柴犬とのミックスで、茶色毛だったから「チャコ」。「あんぱん」にも登場した「メイ犬BON」をはじめ、やなせたかしの作品に犬が多いのは2人が愛犬家だったのにも関係している。

病院の玄関でチャコに再会した暢は嬉しそうにその体をなで、チャコもちぎれるほど尻尾を振って暢に甘えたという。

ちなみにチャコを飼うことになったのも、やなせ夫妻らしい逸話がある。やなせスタジオ代表取締役の越尾正子著『やなせたかし先生のしっぽ やなせ夫婦のとっておきの話』(小学館)によると、年齢的にももう犬は飼えないと思っていたやなせ夫妻だったが、ある時近所の人がチャコを連れ「どうか飼ってください」と鰹節をつけて頼みに来たのだという。人の頼みをむげにできない、やなせ夫妻らしい。