リアルと非日常がリンク、恐怖に襲われる映画

舞台になる地下鉄駅の地下通路は、どこにでもある何の変哲もない通路。その白い壁もポスターも、スチールのドアも証明写真機も既視感がある。誰もが日常のなかで通っている地下通路だ。そこにゲームでおなじみの「歩く男」が現れる。主人公たちに「オジサン」と呼ばれる謎の男は、シェイクスピア俳優でありドラマ『VIVANT』でも注目された河内こうち大和やまとが怪演。

舞台俳優の河内大和が演じる「歩く男」
©2025 映画「8番出口」製作委員会
舞台俳優の河内大和が演じる「歩く男」

リアルと非日常が背中合わせのその空間で、規則正しい動作をひたすら繰り返す彼の存在が、もともと地下通路にある内在的な不安や恐怖を顕在化していく。そんな現実と映画の世界がリンクする恐怖が、この映画の芯になる。

そんな本作には、さまざまなテーマが埋め込まれている。まず、歩く男が怖いおじさんに見えるホラー映画的なシンプルな演出もあるだろう。同時に、王道の古典的ホラー『シャイニング』のオマージュがあったり、名作『2001年宇宙の旅』のHALのような神となる存在の投影もある。