「魔法の言葉」の中でも最強なのは…

そうした、いわば魔法の言葉の中でも最も強いのが「ペルソナ・ノン・グラータ(persona non grata/PNG)」だ。これはラテン語で、「好ましからざる人物」「招かれざる客」を意味する。外交用語では、特定の外交官に対して受け入れ側が「資格なし」と見なした場合、派遣国にその旨を通達し、国外退去させることを意味する。

ウィーン条約にはこう書かれている。

第九条

1
接受国は、いつでも、理由を示さないで、派遣国に対し、使節団の長若しくは使節団の外交職員である者がペルソナ・ノン・グラータであること又は使節団のその他の職員である者が受け入れ難い者であることを通告することができる。その通告を受けた場合には、派遣国は、状況に応じ、その者を召還し、又は使節団におけるその者の任務を終了させなければならない。接受国は、いずれかの者がその領域に到着する前においても、その者がペルソナ・ノン・グラータであること又は受け入れ難い者であることを明らかにすることができる。

2
派遣国が1に規定する者に関するその義務を履行することを拒否した場合又は相当な期間内にこれを履行しなかつた場合には、接受国は、その者を使節団の構成員と認めることを拒否することができる。

「外交特権」を失い、逮捕される可能性も

受け入れ側には強制的に外交官を国外退去とする力はないが、PNGが発動されると外交官は外交特権を失う。つまり、警察による捜査も逮捕も可能となるため、PNGを発動された外交官は多くの場合、本国の指示で国外へ退去することとなるのだ。