昭和天皇による“驚きの人物評”
これまで刊行されたオクの人びとの日記に記されていた天皇の言葉は断片的なものや、いわゆる「丸めた」(筆者による要約)表現が多かった。ところが、田島の『拝謁記』は速記者が書きとった国会議事録のように、天皇との対話が詳細に記述されている。
まさに録音を再生したかのようで、記憶を元にまとめたとは信じがたい生々しさと分量だ。従来の側近の日記とは一線を画す、昭和天皇関連としては突出した資料といえる。天皇の人格、人間観、世界観、思想のすべてとはいえないが、そのかなりの部分を知ることができるといえよう。
『拝謁記』のような膨大な対話記録ができあがった背景には、占領期・象徴天皇制の揺籃期という特殊な状況で、オモテとオクを兼務したような田島の役割があったとみられる。
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