世界の笑い者となった「恥の船」

華々しい成果を期待されたクズネツォフは、こうしてシリア作戦で何ら顕著な実績を残さないまま帰還する。ロシアへ戻るその道のりでさえ、恥の上塗りであった。

アドミラル・クズネツォフ、ロシアの航空母艦
アドミラル・クズネツォフ、ロシアの航空母艦(写真=ロシア連邦国防省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

2017年、シリア作戦を終えて地中海から帰還するため、イギリス沿岸を航行するクズネツォフ。もうもうと黒煙を吐き出す姿が報じられると、イギリスだけでなく世界から嘲笑の的となった。ロイター通信によると、イギリスのマイケル・ファロン国防相(当時)は、クズネツォフを「恥の船(ship of shame)」と呼んだ。かつてソ連海軍の威信を体現するはずだった巨艦は、今や物笑いの種と化していた。

米海軍分析センターのドミトリー・ゴレンバーグ上級研究員は、米ビジネス・インサイダーの取材に応じ、老朽化した推進システムが原因だとの見方を示している。「この艦の主な問題は、非常に問題の多い推進システムを抱えていることなのです。単純に言って、信頼性がない」。クズネツォフは8基のターボ加圧ボイラーで推進されているが、30年以上前に搭載されたこれら旧式のシステムが、2017年当時すでに多くの問題を引き起こしていたという。