「140年ぶり」の国難をどう乗り切るか

奥 真也●会津大学先端情報科学研究センター教授。1962年大阪府生まれ。府立北野高校、東京大学医学部医学科卒。東大病院放射線科に入局後、埼玉医大放射線科、東大病院22世紀医療センター准教授を経て、2009年から福島県の会津大学先端情報科学研究センター教授。医師、医学博士、放射線科専門医、経営学修士(MBA)。研究室のサイトでブログを執筆中。
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福島県は2011年、大きな痛手をこうむりました。

一年を通じて、何もいいことがなかった、というのが偽らざる実感です。年末のNHKの番組で郡山出身の西田敏行さんが、「廃藩置県以来、最悪の状態」という表現をされていました。最初少し大げさかと思いましたが、考えてみるとまさにその通りなのかもしれません。廃藩置県は1871年ですから、それから140年が経っています。140年来の国難ということになります。

私は大阪出身で、3年前から、福島県の会津地方にあるコンピューター科学の単科大学で教育と研究に携わっています。会津と東京とを頻繁に往来しながら活動していますが、福島と東京、関西圏とでは2011年一年の捉え方はずいぶんと違います。 福島にはまだ震災の爪痕がそのまま残っているばかりでなく、放射線という難敵がゆく手を阻みます。明日に向かって進むには、放射線の問題に向き合い、考えていくことが必要です。

もちろん、放射線にばかり関わっていられない、という気持ちは皆の心にもあるでしょう。 忘れることは適切ではないと思いますが、生活のあらゆるシーンで放射線を気にかけるのもまたよいこととはとうてい思えません。