デジタル・ディスラプションに既存企業はどう対応すべきか?

自動車産業や出版業界をはじめ多くの既存企業が、デジタル技術の進化がもたらす破壊的イノベーションの脅威にさらされています。デジタル・ディスラプション(破壊)に既存企業はどう対応すればよいのでしょうか。

アマゾンは既存企業のディスラプター(破壊者)として名を轟かせる。(時事=写真)

アマゾンが日本に進出したのは2000年ですが、その1年前に、出版取次大手の日本出版販売(日販)が対抗戦略として「本やタウン」というインターネット書店を始めました。ネットで購入した本を書店で受け取れるようにし、自宅配送の場合は一律300円の配送料がかかりました。一方、1年後にアマゾンは、2500円以上の購入で自宅への配送料を無料にするサービスを日本で開始します。

結果、「本やタウン」はうまくいきませんでした。ネットで注文する人の多くは、書店に行くのが大変だから利用するわけです。そのため、書店に誘導するビジネスモデルよりも、一定額以上を購入すれば送料無料になるアマゾンを利用する人が多かったのです。

日販としては、顧客である書店のビジネスを奪いたくないでしょうから、こうしたビジネスモデルを選んだことは理解できます。それでもうまくいかなかったところに、既存企業のデジタル化への対応の難しさがあります。