「痛みに効果がある」と続けている習慣や運動が、症状を悪化させているかもしれない。腰痛や関節痛について、10のテーマに応じて専門家に聞いた。第4回は「階段とエスカレーター」――。(全10回)

エスカレーターの有効な使い方

「痛みを改善するために階段を使いましょう」というアドバイスをすることは、診療の場面ではほとんどありません。

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運動不足を解消するために、エスカレーターやエレベーターではなくあえて階段を使っている人もいるでしょう。健康な方が体を動かそうとして階段を上り下りすることは、決して悪いことではありません。軽く心拍数が上がるくらいの運動を日常的に取り入れることは、全身的な代謝を考えると好ましいことです。

しかし、それはあくまでも痛みがない範囲での話。膝を悪くした方のなかには、「膝の痛みを軽減するには、筋力をつければいい」と勘違いしている人が多いのですが、痛いのに無理に階段を上り下りして、かえって軟骨がすり減って痛みが強くなっている人も多いのです。そのような場合は、むしろ「階段よりも、エレベーターやエスカレーターを使うようにしましょう」とアドバイスします。