高校時代、「全国高等学校クイズ選手権」で史上初の2連覇を達成した伊沢拓司氏。その後、東大に進学した「知識モンスター」が、記憶のコツを語る。

東大にいた勉強ができる人たちも僕と同じ

「どうやって記憶力を高めたんですか?」とよく質問されます。しかし、自分の記憶力がいいと感じたことはありません。ただクイズが楽しくて、過去の問題などを覚えようと工夫するうちに記憶のコツをつかみ、それが勉強にも役立って東大に合格できたのだと考えています。中学高校、そして東大にいた勉強ができる人たちも僕と同じでした。勉強もクイズも、努力して記憶した人が最終的に勝つのです。

クイズプレーヤー 伊沢拓司氏

クイズのトッププレーヤーには共通点があります。それは、復習をすること。例えば、自分が出場したクイズ大会の録音を何度も聴くような復習です。

なかには机に座ってやるような復習が嫌いなのに強いプレーヤーもいますが、彼らは大量の問題をものすごく高い頻度で解いていくという勉強法を採用したりしています。つまり、いやが応でも過去に間違った問題に何度も巡り合うので、そこにはやはり復習の要素がある。問題を解くだけのやりっぱなしでは、東大生だろうとクイズ王だろうとすぐに忘れてしまいます。「復習こそが記憶の王道」なのです。

僕自身も復習好きで、勉強の8割は復習でした。復習のいい点は、机に向かう必要がないことです。自分の頭に定着したかどうかのチェックですから、電車の中でもすぐに始められます。しかも、やればやるほど「できる、できる」という実感が湧きます。反対に、新作クイズなど未知の問題を解いていく方法だと「進んでる感」は得られるものの、頭に定着しません。復習は、成功が約束されている勉強法だから、飽きずに続けられるのです。

暗記を通して内容の理解が深まる!

僕は暗記する際、「ミクロ暗記」と「マクロ暗記」という分類法を意識しています。「ミクロ暗記」とは、一つ一つの情報量は多くないけれど、細部まで完璧に覚えないと意味がないもの。英単語、漢字、歴史の年号などです。一方の「マクロ暗記」は、一字一句正確に覚える必要はないけれど、ストーリーや論理関係など、全体の構造を覚えようとする暗記です。

昔話の「桃太郎」でいうと、「桃から桃太郎が生まれる」「村から出かける」「イヌ、サル、キジを子分にする」「鬼を倒して、金銀財宝を持ち帰る」というメーンの要素があります。そこに「おじいさんは山へ芝刈り」「きびだんごを与える」など、サブの要素が付随していく。このメーン要素から頭に入れていくのが「マクロ暗記」です。