大事な人を見極め、好きになってもらうにはどうすればいいか。ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏は「まず『最近1万円何に使った?』と質問してみること」だという。どういう意味なのか――。
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※本稿は、竹下隆一郎『内向的な人のためのスタンフォード流 ピンポイント人脈術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

頭の中がのぞけるキラークエスチョン

好きな人を見極めるには、どうすればいいか。私は「キラークエスチョン」と呼ばれる質問を使っています。決定的なゴールを演出する、サッカーの「キラーパス」と同じような意味で、この質問に答えられるかどうかで「好き」になるかどうかを参考にするのです。

1つ目のキラークエスチョンは「AI(人工知能)であなたの仕事や人生ってどう変わると思いますか」という質問。

私がいるメディア業界にたとえて考えると、人工知能がインタビュー相手の言葉を記録して瞬時に記事にする世界がやってくることは予測できます。人間の記者の仕事がなくなっていく。あるいは、もし金融業界にいる人でしたら、お客さんの対応やローン審査などは機械が速くこなせるはずなので、いまその担当をしている銀行のスタッフはいなくなります。

この質問をすると、相手が、自分の仕事の構造を抽象的に理解し、なおかつ未来予測ができる人かどうかが分かります。そういう人と仕事をしていかないと、時代から取り残されますし、私はそんなふうに未来のことを考えている人が好きなのです。

未来に対する少しばかりの不安感と焦り、そしてその後にやってくるワクワク感。そのとき誰といたいか、誰と一緒に未来を見たいのかどうかがすごくよくわかる質問です。

1万円の使い道で相手の本質が分かる

もう一つの「キラークエスチョン」は、「最近、1万円を何に使った?」というものです。1万円というのは決して安い額のお金ではありません。食事をすればそれなりのものが出てくるし、本を何冊も買うことができます。

この質問に対して、「夏休みに書店で1万円分の本を買うのが何よりの楽しみだ」と答えた知り合いがいますが、「すてきだな」と思いました。飲み会に行かず、ギャンブルをやらず、旅行もあまりしないタイプなのですが、一生懸命稼いだお金の使い方に「自覚的だな」と感じました。

同じような質問を、仕事で知り合った放送作家の岡伸晃さんにしたことがあります。

岡さんは「寿司」だそうです。1万円よりは多かったのですが、岡さんは毎週のように2万円の高級寿司を食べに行くのが趣味です。給料のほとんどを使っているといいます。自分にはとても真似できないなと思いました。