プレジデントオンラインでは全上場企業の「平均年収ランキング」を作成した。その結果、ベスト10のうち4社をM&A助言を手がける企業が占めた。平均年収が1000万円を超える企業は75社。いずれも高給企業だが、明暗は分かれた。昨年1571万円で5位だったファナックは、250万円超のダウンとなり、21位に沈んだ。日本一の高給企業はどこか――。

年収トップは2139万円のM&A助言会社

プレジデントオンラインでは、全上場企業の「平均年収ランキング」を作成した。もとにしたデータは2017年6月末時点の有価証券報告書だ。データ抽出では企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」の協力を得た。

その結果、社員の平均年収が1000万円を超えている上場企業は75社だった。その内訳を業種ごとに並べると、メガバンクなどの金融関連が21社、放送・広告が12社、医薬・化学・食品が10社、総合商社、不動産・プラント、ITサービス・コンサルが6社ずつ、機械などのメーカーが4社、通信・ゲームと半導体・ソフトが3社ずつ、海運、石油、住宅設備、外食が1社ずつだった。

全上場企業のうち最も平均年収が高かった企業は、M&Aアドバイザリーを手がけるGCA。平均年収は2139万円。従業員数は126人で、平均年齢は37.2歳だ。同社は欧州企業と経営統合するなど国際的に事業展開しており、アドバイザリー収入は米国や欧州など海外が国内を上回るようになった。

メガバンクであればM&Aの案件を系列企業から紹介されることも多い。だが、同社は系列企業をもたない独立系だ。海外の案件を継続して獲得するためには、高額な給与によって、質の高い人材を確保する必要があるのだろう。人件費の割合は売上高のおよそ6割を占めている。

過去5年間の平均給与の推移は、1555万円→1331万円→1486万円→2153万円→2139万円。2000万円台は2年連続となっている。経営陣では4人の社内取締役が年俸1億円を突破。それぞれ4億1400万円、1億1900万円、1億1400万円、1億200万円である。

伊藤忠の岡藤正広社長の年俸は4億1200万円

M&Aを手がける企業は給与が高い。ほかにもM&Aキャピタルパートナーズ(2位)、ストライク(5位)、日本M&Aセンター(10位)の3社もベスト10にランクインしている。ただしGCAが海外大企業を主な対象としているのに対し、3社は国内の中堅・中小企業が中心だ。

2位のM&Aキャピタルパートナーズの平均年収は1905万円。従業員数は50人で、平均年齢は31.1歳だ。前年の2253万円から350万円近いダウンだが、これは従業員数が12人増えたためだろう。原価や販管費に含まれる人件費は、約1億2500万円増えている。

金融以外では放送・広告、医薬品、総合商社などが高給の常連組である。とくに総合商社の場合は、経営陣の年俸も高水準であり、年俸1億円以上の社内取締役が毎年多数出現している。17年3月期は、伊藤忠商事が11人全員、三菱商事と三井物産が5人、住友商事が3人、豊田通商が2人、丸紅が1人で合計27人。伊藤忠の岡藤正広社長の年俸は4億1200万円だった。

一方、従業員の平均給与は、三菱商事と伊藤忠が1300万円台、住友商事、丸紅、三井物産の3社が1200万円台、双日が1000万円台であり、豊田通商は997万円である。17年3月期は伊藤忠と豊田通商を除いては前年度比マイナス。とくに、三井物産は149万円、三菱商事は59万円のダウンだった。三菱商事の場合、グループ全体では9000人近くの増員だったが、人件費総額は5368億円から5080億円と、約280億円の減額だった。