まずは「親が親を品定め」する時代

まずは息子のいる親から娘のいる親へアプローチ、次はその逆で、最後にフリータイムで、という流れで会は進む。みんなで和気あいあい。「子供が結婚できない悩み」をここで共有することで、仲良くなる親同士もいるという。

結婚しない・できないでいることは本人以上にその親を悩ませるもののようだ。子の代わりに親が婚活する、「親同士による代理お見合いの会」がいま、全国各地で大きな広がりを見せている。

とある秋の平日、一般社団法人『良縁親の会』(京都市下京区)が主催した会にはなんと160名もの親たちが集まった。男女比は1:2くらいだろうか、母親だけではなく、父親だけ、両親そろって、という組もけっこう多い。

「京阪神での開催は特に人気が高いですね。今回は大会場を用意できましたが、しばしば定員数オーバーのために(※今回の募集も120名だった)先着から漏れて参加できない方が出てしまうのが現状です」(同会事務局)

参加者は、事前に渡されるデータリスト(子本人の情報や希望条件などが匿名で一覧化されている)をもとに、目星をつけた相手の親にアプローチし、互いに気に入ればわが子の写真や身上書、連絡先を交換し合う。そして子は親が持ち帰ったそれを見て実際に会うかどうかを決める。いってみれば、親自身が子供の結婚のために“仲人”の役目まで務めるようなシステムだ。

「一昔前ならご近所や職場が独身のわが子のために縁談を持ってきてくれました。が、現在は違う。そこで、親御様自身がお子様の出会いの可能性を広げ、ご縁を結ぶお手伝いをしたいと考えました」(同会代表理事・脇坂章司氏)

必要なのは参加費(1人1万円)のみで入会金、追加料金もなし、成婚の報告も一切不要、という気楽さもあるのだろう。2005年にスタートした同会の参加者は年々増え続け、その数のべ1万5484人にまで膨れ上がった(開催回数196回/2014年10月3日現在)。「親御様にはきちんとお子様の了承をとったうえで参加してくださるようにお願いしています」(脇坂氏)という言葉どおりなら、子の側も相当数、親のこの代理婚活に期待しているということか。