地方タワマンの「天守閣」に住む金持ち

①フロー金持ち

ポンッと1億円以上の物件を買える人は、あたりまえだが金持ちだ。

富裕層を分解すると、そこにはおよそ二つの形態がある。ストック金持ち(所有資産が多い金持ち)とフロー金持ち(所得収入が多い金持ち)だ。タワマン好みは、このうちフロー金持ちが多いという。自らの成功の証しとしてタワマンオーナーになるわけだ。

地方の主要駅前に建設されるタワマンのペントハウス(最上階にある高級住戸)を買うのは地元の名士と言われる。その地域の最高層建物となるタワマンは、いわば「富の象徴」である。その最上階から街を睥睨へいげいする天守閣を自らの館にする。

私はこれを「地方タワマンの天守閣需要」と名付けている。彼らは東京=江戸にも館を持ちたがる。こちらは東京に出かけたときに過ごすための藩邸というところか。

一方、主に東京や大阪でタワマンを買う富裕層は、現役バリバリのフロー金持ちだ。ビジネス社会の頂点にいることの誇りとしてタワマンを買う。「タワマン文学」と称されるタワマン内部にある階層ごとの熾烈な権威争いを描く物語があるが、それを巻き起こす闘争本能の高い人たちをイメージしてもズレてはいないだろう。

売り時を見定めている投資家たち

②高齢資産家

二つ目のタイプは富裕層のなかでも、相続が心配になった高齢者による購入だ。このカテゴリーにはストック金持ちが多い。資産を大量に持ち、そのままにしていると多額の相続税が課せられることを懸念している。

娘や息子が税理士や金融機関などの勧めにしたがって、多額の借入金を調達して親に買わせるケースも目立つ。タワマン購入は相続の際の節税効果が絶大であると喧伝されたこともあり、タワマン購入者のプロフィールには意外と高齢層が多い。

③投資家

第三に投資家だ。タワマンに投資してひと儲けを企む。彼らの多くはテナントに賃貸して当面の運用益を確保し、時期を見定めて売却する。あるいはテナントは付けずに空箱のままか、あくまでも別宅としてたまに利用する程度にしながら、売り時を見定めている人たちもいる。

ここには外国人投資家の姿も目立つ。使い方としては、同国人に賃貸して運用する、自分たちが日本旅行するときの宿泊所として活用する、子弟が日本に留学する際の居場所としておく、などがある。