タワマンを筆頭に首都圏のマンション価格が高騰している。不動産事業プロデューサーの牧野知弘さんは「とくにタワマンは、もはや住むためのものではなく、投資や節税手段としての対象となってきている。そのため、実際に住んでいる人というのは数がしぼられている」という――。
※本稿は、牧野知弘『家が買えない 高額化する住まい商品化する暮らし』(ハヤカワ新書)の一部を再編集したものです。
5人に1人以上がタワマンオーナー
不動産経済研究所の調査によれば、2004年から2023年までに首都圏(1都3県)で供給されたタワーマンション、通称タワマンは、21万9478戸にのぼる。実は「タワマン」と言っても世の中に明確な定義があるわけではないが、同研究所では「超高層マンション=タワマン」の対象を地上20階建て以上のマンションとしている。
同じ期間に首都圏で供給されたマンション全体の戸数は91万9005戸なので、ここ20年間の新築マンションの約24%、実に4戸に1戸がタワマンという計算になる。
かつてタワマンと言えば「超高級マンション」の代名詞だったが、今や新しくマンションを買う人の5人に1人以上がタワマンオーナーなわけだ。もはやその希少性は薄れ、一部の物件はコモディティ化している現実がある。
一般庶民には買えない価格で売れている
それでも販売価格はうなぎのぼりだ。数年前に東京・江東区豊洲で供給されたあるタワマンの新築販売時の価格を見ると、平均で坪あたり450万円を超えていた。上層階で専有面積100平方メートルを超すようなプレミアム物件になると、坪単価は600万円にもおよび、優に2億円を超えるお買い物だ。
中層階~低層階で20坪(66平方メートル)程度の物件でも、9000万円前後になる。いずれも一般庶民には到底手が届かない価格であるが、販売は好調に終了したという。
それでは、そんなタワマンを買っている人は、どのような人なのだろうか。実際に購入している人のプロフィールを見ると、おおむね四つのカテゴリーに分類できる。