不動産投資の借金で気を付けること

「不動産投資のための借金は、会社員ならすべき」と前述しました。ここで気をつけたいのは、不動産投資で借金をするときは、「資産価値」「キャッシュフロー」「レバレッジ倍率」のバランスを考える必要があるということ。そして、不動産なら何でも買えばいいという話ではないということです。

「サラリーマン大家さん」に憧れる会社員は少なくありません。会社員としての給与を確保しつつ、会社以外から定期的に入ってくるお金を確保できる安定的な投資の形だからです。

ですが、物件によっては「不動産を持っているだけで儲かってはいない」ということが起こります。そういう場合、「たしかに、交際費や交通費などを経費にできてその分が節税になっている。でも、不動産そのものは赤字。通算すると少しだけ黒字という程度かな」ということも、ままあります。でもそれは、本来の目的とは違っています。

不動産投資の目的はあくまでも投資であって、節税ではありません。節税はあくまでもオマケととらえ、不動産投資そのものできちんと長期的に利益が出るものを保有する必要があるのです。

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「よく知らない首都圏エリアの木造アパート」での失敗

よくある「サラリーマン大家さん」の失敗例としては、こんなケースがあります。

投資物件は新築の木造アパート。場所は、首都圏といっても東京生まれの人でもあまり聞いたことがないようなエリアだったりします。そのアパートに投資をしようと決めた理由は「利回りがよく、販売不動産会社による家賃保証がついているので、決まった額の家賃が入ってくるため」。

ところがいざ投資をはじめてみると、利回りがいいのは一時的なもの。不動産会社は最初から、「大家さんには最初だけ“おいしい思い”をさせてあげればいいだろう」という目論みで、大きな販売利益をとるために、期間限定の家賃保証で小さなリスクをとる、というパッケージで考えているわけです。

この手の不動産会社は、一定期間が過ぎた後は、契約更新のタイミングで家賃保証の継続を拒否したり、継続だとしても大幅な減額を要求してきたりするのが定石。すると、大家さんはみずからそのマイナーなエリアに建っている木造アパートの面倒を見なくてはならなくなるうえに、下手をすると億単位の借金が残ってしまうことになります。

木造アパートはマンションに比べて劣化のスピードも速く、借り手も次第に減って当初の賃料レベルで貸せなくなり、さらに赤字が膨らんでいく……という負のスパイラルを止められなくなっていくのです。

このように、不動産会社のビジネスモデルにはまり、「建物の価値も低ければ、土地の価値も低い」というような投資物件に手を出してしまわないよう、購入するときは慎重にならなければいけません。