脅しメールはタイムセールと構造が似ている

年末年始はバーゲンセールの季節だが、こんな経験はないだろうか。外出先で処分セールをやっていた。特に買いたい物もないので通り過ぎようとしたら、「今日が最終日」とある。今日限りと聞くと、急に気が変わり、何か安く買えればいいなと考えてしまう。ネットのセールも同じこと。「いよいよ今日が最終」という通知が来たとたん、さほど興味がなかったその通販サイトを開いてしまうものだ。

以前に取材をしたときに聞いた話だが、安売り期間を短くするほど、わっと人が集まるという。1週間のセール期間より本日限り、24時間よりも今から30分だけのタイムセールですと言われた方が、客の購買意欲が盛り上がる。いつでも安く買えるなら今度でもいいかと気に留めないが、安いのは今日限りですと聞くと、じゃあ何か買わないと損じゃないかと慌ててしまう。

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不正メールもやはりそのような心理を利用している。「●日以上は延滞金がかかります」「至急ログインして確認してください」「24時間以内にご確認がない場合はアカウントの利用制限をさせていただきます」というように、急き立てるような文言ばかりだ。焦ると人間は深く考えられずに行動してしまうもの。時間を短く区切られて、そこで決めろと言われると、正しい判断を下すのが難しい。

詐欺はもってのほかだが、「今から30分以内なら5000円引きです」とか、「今日中に決めると半額になります」「この電話で契約していただければ特別料金を適用できますよ」という「今だけ」セールストークには惑わされないことだ。それはあなたではなく、相手側が得するだけだ。慌てて決断することの危険を覚えておこう。

「ポイント経済圏」でカードを増やしすぎるのは危ない

このようにして詐欺を仕掛ける側は「お金を失いたくない」という心理を利用する。我々は自分の財産を守ろうとして、セキュリティ対策を固めようとするのは当然だ。そこに届くのが、こんなメール。「カードの不正利用を防ぐために3Dセキュア認証の手続きをお願いします」「長期間変更されていないパスワードを変更してください」「不正防止のためお客さま情報等の確認をお願いします」。

実際に、このようなメールは正規のカード会社や銀行からも届くので厄介だが、これもフィッシングで使われている手口だ。不正メールからリンクをたどってログインしてしまうと、もはや相手の思うつぼ。正規サイトそっくりの画面に誘導されてしまう。

フィッシング対策協議会のホームページには、「最近のフィッシングサイトはとても精巧に作られているため、見分けることは非常に困難」との記載があるほどだ。大事なお金を守りたい気持ちがまんまと利用されるとは腹立たしい。面倒でも必ずカード会社や金融機関の公式サイトから開く習慣をつけよう。