頭をよくする食生活のキーワードはお肉とビタミンC

先にも少し触れましたが、私はシニア世代こそお肉を積極的に食べるべきだと思っています。

その理由としては、まず、お肉を食べることで、セロトニンという幸せホルモンの分泌を増やすことができるからです。セロトニンが正常に分泌されると、人は精神的に安定し、その結果、意欲や思考力も高まっていくのです。幸福度を高める物質ですから、当然、うつ病のリスクも下げてくれます。

セロトニンの原料は、トリプトファンというアミノ酸の一種です。このトリプトファンは、豆や乳製品、肉、魚などのたんぱく質に多く含有されていますので、たんぱく質の塊であるお肉を食べることは、とても理にかなっているのです。

私がこのようにシニア世代に肉を薦めると、「コレステロールが心配だから……」という返答をいただくことも多いのですが、コレステロールが体に悪いというのは誤った認識です。

コレステロールは人間を含めた動物の体を形成する脂質の一つであり、性ホルモンや細胞膜の材料にもなるなど、生命体には必要不可欠のものです。

現在、日本人の平均寿命が世界トップクラスになった理由の一つは、戦後、肉を食べるようになり、コレステロールの摂取量が劇的に増えたことが考えられます。コレステロールをきちんと摂取するようになったことで、強くしなやかな血管の維持が可能になり、脳卒中による死者が激減したのです。

さらに、コレステロール値が低いと免疫細胞の材料が不足するためか、がんになりやすくなるというデータも出ています。

脳と体の若さを保つために、ぜひ「肉食」を意識してみてください。

それから、ビタミンCも頭をよくしてくれます。物質の酸化を防ぐ「抗酸化作用」を持つビタミンCには、肌をきれいにしてくれるというイメージを持っている方も多いと思いますが、皮膚と同じように、脳細胞の酸化も防いでくれるのです。

脳や血管の酸化はアルツハイマー型認知症の原因の一つとされていますが、ビタミンCにはそれを抑制する作用があるのです。

もちろん、ビタミンCは脳や皮膚だけでなく、体にもよい影響をもたらします。新鮮な野菜やフルーツをたっぷり食べている人は、男性で6年、女性で1年寿命が延びるというデータも出ています。

ビタミンCは野菜や果物のほか、緑茶などにも多く含まれます。また、錠剤を活用するのもよいでしょう。意識的に摂取して、張りのある脳を手に入れてください。

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