反対の立場に立つことが論理力を高める

ときには、あえて自分の感覚に逆張りをして書いてみるというのもいい練習です。ディベートのトレーニングでも「賛成派」と「反対派」の両方の立場に立って、交互に意見を言い合うというやり方があります。

これと同じことを、映画を見てしてみるのです。とてつもなくつまらなく感じた作品でも、それを無理やりおもしろい作品であると解説してみるのです。実際に配給会社はその作品を売るために、様々なキャッチコピーや宣伝文句で煽っているわけです。宣伝の担当者個人が「これは売れないなぁ」と思っていても本音を言うわけにはいきません。

そこで、架空の宣伝担当となって文章を書いてみるわけです。やってみるとわかりますが、好きな作品を褒めるのよりずっと難しいはずです。言ってみれば、社内にいる苦手な人の良いところを無理やり見つけ、他の人に「この人、悪い人じゃないんだよ。こういうところが素敵なんだ」と紹介するような作業です。そういう意味では文章力以上に論理力を高めるトレーニングになるかもしれません。

第三者の目に触れるからこそ文章力は向上する

ブログの最大の利点は、書いた文章を自分以外の不特定多数の人に読んでもらえることです。文章というのは第三者の目に触れることが大切ですし、上達にもつながります。伝わりにくいのであれば何が原因なのか、どこを工夫したら評価が上がるか、それを常に考えて書くことで文章はどんどんうまくなります。

齋藤孝『40代から人生が好転する人、40代から人生が暗転する人』(宝島社)

実際、その編集者氏は「おもしろくないブログ」の特徴を分析し、「冗長でまわりくどい」「結論が遅い」「日本語が正しくない」「調べ方があまい」などを拾い出し、まずはそれをしない文章を書くように心がけたといいます。賢者は歴史から学ぶといいますが、自分以外の過去の失敗例などを分析して抽出し、自分がそこに陥らないようにするのも上達するにはいい方法です。

いずれにせよ、まずははじめてみることです。この方の場合、ブログをはじめたことで書くネタが必要になり、学生時代に映画を見る回数が急激に増えたと言っていました。これが読書感想のブログやnoteであれば、本を読むペースも増えることでしょう。

別のテーマであっても、今まで以上に深堀りする習慣がつくはずです。そこに新たな発見が生まれることで、人生もより豊かになるということです。

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