私は人体実験の材料ではない

また、がん治療に関する「独自理論」を持つ人にとっても、私がその理論に従った治療を行なって快復したら、それは自身の理論が正しかったという証明になるので、大きな満足が得られる。

実際、私のところに届いた手紙のなかにも、「森永さんのがんをこの方法で治癒させれば、私の理論が正しかったことを世間に納得させることができるので、ぜひチャレンジしてほしい」と書いたものがあった。

とても正直な人だと思ったが、私は人体実験の材料ではないのだ。

ペットボトル1本が1万円を超える「奇跡の水」もある

第三は、がん治療ビジネスだ。

がんの自由診療には、高額の費用がかかることが多い。たとえば、健康食品でも、1つ数千円もするものは珍しくないし、奇跡の水でも、ペットボトル1本が1万円を超えるものもある。

写真=iStock.com/Hyrma
ペットボトル1本が1万円を超える「奇跡の水」もある(※写真はイメージです)

さらにマイクロウェーブでがん細胞を殺す温熱療法も、治療ワンセットで200万円を超えるサービスを複数のクリニックが提供している。

明らかに高収益のビジネスだ。

そうしたところを私が利用して成功すれば、格好の宣伝材料にもなるのだ。