二次被害はマスコミや警察、弁護士からも

3.マスコミによる報道
●大事件の被害者宅に各社が押しかけ、近所にまで迷惑をかける
●遺族の許可なく、お通夜や葬儀の取材をして報道する
●被害者の写真を勝手に報道する

4.警察、検察、裁判所などの捜査や裁判の場で
●取り調べの過程で、被疑者と同じような扱いをする
●「なぜそこにいたの?」など、被害者に落ち度があるような聞き方をする
●法廷で被告人が被害者を侮辱するような発言をしても、阻止しない

5.被害者支援弁護士
●「加害者にも言い分があるのだから、被害者も配慮して」
●被害者参加制度や心情等に関する意見陳述など、刑事裁判における被害者の権利に無知な結果、「被害者は刑事事件にはあまり関わらないほうがいい」などと決めつける

6.医師
●「警察に届け出るなら診察しない」
●「たいしたケガじゃないから、放っておけば治る」などと言ってカルテにも記載せず、そのために後日、事件の立証ができずに不起訴となってしまう
●「中絶するなら、加害者の同意をもらってね」などと間違った助言をする

学校や会社に行けないのは「弱いから」ではない

性被害にあうことは、とてもつらいことです。その影響は、心身にさまざまな症状となって現れます。

事件のことを突然思い出して情緒不安定になったり、そうかと思えば事件が他人事のように感じられて、感情が麻痺することもあります。食欲がなくなったり、夜眠れなくなったり、人に会うのが怖くなって学校や会社に行けなくなる人もいます。自信を失って、自分に価値がないと感じ、自殺願望が高まってリストカットなどをしたり、自分を大事にする気持ちがなくなっていろんな人と性行為を繰り返す人もいます。

逆に、異性全般が怖くなり、異性と話ができなくなる人もいます。うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、アルコール依存症になったり、薬物乱用に走る人もいます。それほどつらいことに巻き込まれたのです。

適切なケアを受けることで、時間がかかっても必ず回復に向かいます。なかなか被害前の生活に戻れなかったり、前向きな気持ちになれなかったり、学校や会社に行けなかったりするのは、被害者の精神力が弱いせいではありません。気合いでは治りません。専門家による治療を受けることは、被害前の自分に近づくためにとても重要です。