びっくりしながらも安心する保護者たち

この2つの話をすると、保護者は自分がクレーマーだと思われたくないから相談できないと考える方もいらっしゃるかもしれません。

そこで3つめの話を加えます。

「なんかこう言われちゃうと、相談しづらくなったでしょう。でも、子育てってね、今、悩んでいる子どもをほうっておいていいのか、介入したほうがいいのか迷うんですよ。結果として、こうすればよかったということが多いから、もし相談していいのかどうか迷ったら、遠慮なく相談してください」と。

さらに、中には、僕らのことを信用できなくて、学校に子どもを人質に取られていると思って相談できない保護者もいます。そこで、「相談することによって自分の子どもの扱いが悪くなるんじゃないかなんて心配する人もいるみたいです。その時には匿名で結構ですよ」と付け加えています。

「たとえ匿名のお電話でも、うちの学校では対応の結果もきちんとお伝えしますから、心配しないでください。必ず一度目のお電話の際には、こう付け加えますから。『匿名で結構ですから、もう一度お電話いただけますか? 2~3日後ならどんなふうに子どもたちが変わったか、お答えできると思うので。もし構わなかったら、2日後の夕方にでもお電話いただけますか。またはご都合のよい時間があったら教えてください』と」

写真=iStock.com/kuppa_rock
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保護者は、入学式でそんなことを言われるので、びっくりしながらも安心するみたいです。

まずは入学式という一番はじめの交流の機会をつかって、余計な先入観を可能な限り取り除いて、安心な学校づくりをめざしていきます、そしてこのメッセージは同時に聞いている教員たちにも安心とそれなりの覚悟を与えることにもつながります。

「歩道の歩き方のマナーが悪い」クレームの電話が来たら…

前述のように教員たちには、匿名で電話が来た場合のさまざまな対応をマスターしておくように指導しています。

例えば、「歩道の歩き方が、横に広がったりふざけたりしていてマナーが悪い」といったように、地域からクレームを受けることがあります。そういう電話を受けたら、多くの教員はまず「申し訳ありません」と謝って「後で教員たちにパトロールさせます」などと返すと思います。それでも「おたくの生徒たちは……」と、矢継ぎ早にクレームを言われた場合、とりあえずそれを聞いてあげることです。

吐き出し終わった頃を見計らってこんなふうに返します。「僕らも、このことについては日頃から口すっぱく注意しているんです。でも最近の子どもは親の言うことさえ聞きませんね。そんな子どもたちに言い聞かせるのはなかなか難しいんですよ」。