8歳になったら速く読むトレーニングを
大声で音読する際、そのテンポも重要視される。例えば“Today, I'm going to see the movie.”程度の簡単な文章を、最初はゆっくり音読し、慣れたら、少しずつテンポを上げていく。
最終的な目標スピードは「英語のラジオ放送のニュース」程度。つまり、かなり速いテンポだ。もちろん、低年齢の子にはむずかしいので5~7歳の子は「大声音読」まで。「速音読」を始めるのは、オランダの小学4年生にあたる8歳くらいからだ。
「速音読」を繰り返すことで、脳がリズミカルに刺激される。愛唱歌をいとも簡単に覚えられるのと同様、無理なく英語が頭に入る。3カ月間、毎日20分ほどこの方法を続けると、いつの間にか、英語が口をついて出てくるようになるという。
東南部ナイメーヘンにある公立小学校basisschool de Buutの英語担当教師、ジョビータ先生も「速音読」の信奉者。速音読こそが英語ペラペラへの近道と考えており、授業時間40分の半分を費やすこともある。
「音読は、誰でもできます。そして繰り返せば、誰でも暗唱ができるようになります。それで子供たちは『なんだ、英語なんて簡単じゃないか』と思うようになる。この自信と自己暗示も英語学習には重要なのです」
ジョビータ先生の生徒の中には、こんな面白いことを言う子もいる。「オランダ語を話すことができるのは、ほとんどオランダ人だけ。でも英語は世界の共通語。世界のたくさんの人があたりまえのように話しているんだから、オランダ語まで使える僕たちがしゃべれないはずないじゃないか」
「英語は好き? と、生徒たちに聞いても、反応がないんです」と先生は笑う。
「英語は彼らにとって外国語ではないのです。そこにある空気みたいなもので、気がついたらしゃべれるようになっていたので、好きとか嫌いとか、そういった感覚がないのでしょう」