このあと、歩いて車に戻り、和倉温泉や能登島などを取材して帰路についた。2日間で能登半島内を400キロほど車で走ったり歩いて感じたことは、道路がつながっていない孤立地域や、能登半島の先端に近づくほど救援は遅れていた。

しかし、発災から2週間が過ぎた今、自衛隊や自治体が必要な食料を隅々まで十分に届けている。生活物資は足りていない避難所もあるが、能登半島のほとんどの地域で、既に生活を再建する段階に入ってきている。

こう書くと、全ての家々を回ったわけではないため、「まだ食料が十分ではない地域もある」と言われる可能性もゼロではないが、全体的な情報が少なく、メディアによっては古い情報が混ざっていることもあり、多くの人に能登半島の現状を知っていただきたく、あえて書かせていただいた。

認知症である夫の介護が一番の困りごと

孤立が解消されたばかりの地域にお住まいの高齢のご夫婦は、今一番困っているのは、認知症である夫の介護だという。日常を取り戻すべく、皆さん踏ん張っている。

そのためには、まずはインフラの復旧が急務だ。どこに行っても、水道と電気、ガスで困っていると言われた。既に全国から多くの復旧チームが被災地に入っているが、道路状況が悪く、大きな足かせになっている。現地では、既に一般ボランティアのニーズも上がり始めているが、やはり道路がネックだ。道路の復旧が、何よりも急がれる。

震災により、多くの尊い命が失われた。元に戻らないことも、癒えない悲しみもある。家を失った方も多く、故郷を離れる二次避難も既に始まっている。今後、インフラの復旧が進み、多くの方が一日も早く日常生活を取り戻せることを願っている。文末ではあるが、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りする。

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