NFT投資家の手元に残ったのは「巨額な含み損」だった

派手に盛りあがったNFTブームが去ったいま、濡れ手にあわの夢は去り、巨額の損失だけが残った人々がいる。暗号通貨企業のレイバーXなどを創業したシドニーの起業家、セルゲイ・セルギエンコ氏は、VICEの取材に対し、NFTで少なくとも499万5000ドル(約7億1000円)の含み損を出したことを明らかにした。

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投資したNFTの評価額は、ピーク時の500万ドルから5000ドル程度まで急落した。驚異的な損失にもかかわらず、セルギエンコ氏はNFTの将来について楽観的な見方を崩さない。「我々はまだ始まったばかりだ」とセルギエンコ氏は語る。

だが、活況のNFT市場は大きく低迷し、コレクションの大半が無価値とみなされるようになった。暗号資産分析会社のダップギャンブルは今年9月、NFTの調査報告書を公表。市場の現状を「NFTの始まりの終わり」と、厳しく表現している。

同社が分析した7万3257件のNFTコレクションのうち、6万9795件という圧倒的な数の時価総額が、合計ゼロイーサ(ETH)であったという。コレクションの95%が無価値となっている過酷な現状を浮き彫りにした。報告書は、2300万人以上の人々が無価値な投資をしていることになるとも指摘している

取引額も激減した。ピーク時のNFT市場の月間取引額は28億ドル近かったが、2023年7月の週間取引額は約8000万ドルで、往時のわずか3%にすぎない。比較的活況の上位NFTに限定しても、その18%はフロアプライスがゼロとなっており、6000ドルを超えるものは1%未満だという。NFT資産の価値の暴落を強調する分析結果だ。

人気を集めたNFTほど大きな下落に直面

米技術解説サイトのインタレスティング・エンジニアリングは、NFTプロジェクトの市場価値を評価するうえで有益な「フロアプライス」を基準に、下落の激しいNFTコレクションを集計している。

フロアプライスはコレクション内の最低販売価格のことで、例えばボアード・エイプの場合、シリーズ作品1万点のうち最低額を示す。2022年4月28日から2023年10月8日まで、1年半弱の変動を追った。

ワースト1位はボアード・エイプだ。同コレクションの場合、フロアプライスは118.0ETH(仮想通貨単位「イーサ」)から25.9ETHに下落した。イーサの価値自体も、同期間に2888.85ドルから1634.66米ドルと、約43%価値を落としている。ドル換算ではボアード・エイプのフロア価格は、34万ドルから4万200ドルへ急落した計算だ。コレクション全体の平均価格としても、約29万8000ドル(約4200万円)下げている。