途中で眠ってしまうとデメリットだらけ

同じ道を歩く人を探そう

もし、職場に自宅と同じ方向に帰る人がいたら、一緒に帰りましょう。

アフリカのことわざに、「早く行きたければ、一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」とあります。

仲間と話しながら帰ることで疲労が和らぎますし、「休憩中に荷物を見てもらえる」「いざと言うときに助けを呼んでもらえる」などの精神的な安心感につながります。

もし、同じ方向に帰る人がいない場合は、人通りが多い広い道を選んで歩いてください。連帯感を感じることができますし、近くに、「この人は信頼できそうだな」という人がいれば話しかけて一緒に帰るのもいいでしょう。

また、災害後は治安の悪化が予想されるため、人気のない裏道などを一人で歩くのは絶対に避けてください。

50分歩いたら10分休憩しよう

可能なかぎり、50分歩いて10分休憩するペースを維持してください。これは自衛隊の行軍の休憩ペースです。休憩時には靴を脱いで足を乾かす、服をゆるめて熱を発散させる、座ったときにリュックなどに足を上げて、むくみを解消したりしてください。

ただし、ここで眠くなっても、眠るのはできるかぎり避けてください。眠ると身体が冷え、筋肉が硬くなり、休憩明けに「だるい」と感じるようになるので注意してください。

喉が渇いても水を飲み過ぎてはいけない

水分補給は大切ですが、1回に飲む量はコップ1杯程度、500mlの3分の1のライン、150~250mlを意識してください。

歩くと喉が渇き、500mlのペットボトルを一気飲みしたくなりますが、多量の水分を摂取しても身体が吸収できずに汗や尿として流れ出てしまいます。その際に体内のミネラルも失われるので、低ナトリウム血症になる可能性があります。失ったミネラルを補給するためには、塩タブレットや梅系のお菓子を食べるといいでしょう。

ぱやぱやくん『「もう歩けない」からが始まり』(育鵬社)

多量の水分を飲み、多量の汗をかくと想像以上に体力も奪われますので、水分については自制心を持って飲むように心がけてください。

また、空のペットボトルは捨てずに持っておきましょう。水道が生きていれば水分補充ができますし、水害が発生したときには、「浮き」としても役に立ちます。

被災時に徒歩帰宅をすることは、それなりにリスクがともなう行為です。自信がなければ、無理に帰らずに、オフィスや避難所にとどまることも賢い決断だと考えてください。

災害のときこそ、パニックにならず落ち着いて適時適切に判断することが、身を守るポイントです。

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