念願のマンションを目前にバブルが崩壊した
地方部出身のAさんのように、必死で働いて頭金をためる必要もないし、子どもは親が所有する不動産があるので、そこに住んで、給料もまるまる自分のために使うことができる。
このように、同じ都市部に住んでいる人々の不動産購入という点ひとつ取ってみても、その人のもともとの「階層」によって命運は大きく分かれている。現在、各地で発生している不動産問題は、マンションの建設中から住宅ローンの支払いが始まっているのにもかかわらず、マンション建設が遅々として進まず、不動産を喉から手が出るほど欲しいと思っている人たちの手に渡らないのではないか、という社会不安も引き起こしている。
ここまで述べてきたように、都市部の人々は時代の波に乗り、比較的簡単に不動産を入手できたが、地方出身の人々はそうではなく「ガチャ」で外れた人々だ。恒大集団の本社前でデモしていた人々の中に「私の目が黒いうちに、どうか家を持たせてください!」と叫んでいた女性がいたが、背景にはこうした中国特有の事情もあるということだ。