派手に宣伝をしている商品は要注意

原則として、派手な広告宣伝をしている企業の商品は、慎重に選ぶほうがよいでしょう。

なぜなら、そんな商品には、広告にお金がかけられるほど分厚い利益が乗っているかもしれないからです。つまり、それだけ高い代金を支払わされる可能性があるからです。

たとえば、私も輸入化粧品の通販事業をしていたことがあるのですが、化粧品自体の製造原価は、定価の10%未満です。つまり、商品そのもの以外の、パッケージやら流通やら販促のコストが乗っかっていて、価格が設定されているのです。

写真=iStock.com/sturti
※写真はイメージです

また、新築マンションも要注意です。たとえば、共用部分が充実しているマンションを想像してみてください。豪華で広いエントランス、フィットネスルームや展望室など、相応の建築コストがかかっていますし、その部分の土地代もかかっています。ではその分は誰が払うかというと、各戸が分担してお金を払っているわけです。そのほかに、営業担当の人件費が必要です。ネット広告や新聞折込チラシ、電車内広告、立派なパンフレットの制作など、広告宣伝費もかかります。モデルルームの建設にも数千万円単位のコストがかかります。

ということは、デベロッパーはそれらコストを回収しなければならないですから、価格にオンされていることは想像に難くありません。

反対に、中古マンションは、そうした利益がすでに落ちていますから、一般的には割安になるわけですね(もちろん、売主が強気とか、希少性が高ければ、買ったときの値段よりも高くなることもあります)。

というふうに、企業のコスト構造を想像して買い物の意思決定をする、という方法も、無駄なお金を払わされない工夫のひとつです。

保険営業マンが稼げる理由

このように、賢い買い物をする方法のひとつは、モノやサービスのコスト構造、あるいは流通の仕組みを知ることです。その知識があれば、価値の割に割高な商品を見抜くことができるからです。

たとえば、生命保険や医療保険。これら保険の販売は代理店制度によって成り立っていて、セールスパーソンは保険を売ると保険会社から手数料が入ってくるようになっています。

その保険営業の世界には、成績に応じてランク制度があります。

おおよそですが、年間1000万円以上の手数料収入を得ると「MDRT」という資格の認定を受けられます。その上位資格のCOTは年間3000万円、最上位のTOT資格になると年7000万円程度の報酬を得た称号です。

ビジネス交流会などで名刺交換すると、名刺にも印刷されています。ではなぜ保険の営業はこうも稼ぐことができるのか(もちろん、稼げていないセールスパーソンもたくさんいますが)。

また、保険代理店に保険の相談に行くと、商品券やクオカードをもらえるというキャンペーンがよく行われています。保険に入らなくても、相談してプランニング提案を受けるだけでもらえることもあります。

さらにテレビをつければ、至るところで保険のコマーシャルが流れています。「アヒルのCM」といえば、「ああ、あれか」と思い出せる人も多いのではないでしょうか。

ではその経費はどこから出ているのか。その原資となっているのは、当然ながら顧客から得た保険料収入です。

これは保険がどれほど儲かる商品かがわかるとともに、人はそう簡単に死んだり入院したりはしないということを示しています。

医療保険などはほとんどの商品が掛け捨てですから、病気にならず入院もしなければ、払ったお金は全損となります。(それはそれで喜ばしいことだと言えるかもしれませんが)

しかも仮に30歳で加入しても70歳前後までは掛け続けることになりますから、逆に保険会社から見れば40年間もチャリンチャリンと継続的にお金が転がり込んでくるということです。

そうして集まった膨大な顧客のお金を、保険会社は有価証券や不動産などで運用しています。都市部でも「○○生命ビル」と保険会社の名前が入ったビルをよく目にしますが、彼らは客のお金でビルを建てて賃貸収入を得ているのです。

もちろん「保険のおかげで助かった」という人も少なくないため、意味がないとか不要だというわけではありません。しかし、保険の利益構造や保障を受けられる確率を知れば、保険ではなく貯蓄で備えるほうが合理的という人もいるはずです。