提言1「結婚」ありきの政策をやめる
第一に、政策立案者や政府は、シングルに対する不当な行為を明らかにし、それに伴う差別を防がなければならない。シングルに対するネガティブなステレオタイプや見方にもとづいて、政策立案者はしばしば、結婚関係を奨励するような施策を立案する。
どうやら、地方自治体や政策立案者たちは、自分たちが保護しようと誓っているところの人々が非理性的で、有害な行動をとっていると決めつけているようだ。
それゆえ、政策立案者たちは、「国内の平穏を守るために」、市民を「正しい」方向に押し戻さなければならないと思っているらしい。だが、現実には、これらの政策には効果がないことがわかっている。人々は結局、シングルのままでいるからだ。
みたところ、シングルの人たちは、自分の生き方を信じている。彼らは、偶然そういう生き方をしているのでもなければ、非論理的にそういう生き方を選んだわけでもない。だから、人々を無理に結婚させようとすることは、不当で不道徳なことであるばかりでなく、貧弱な統治と非効率を証明するようなものだ(※4)。
結婚を奨励する動きのなかには侮辱的なものさえあり、「結婚しなければ」というプレッシャーを感じる人たちに対して害を及ぼすおそれもある。また、シングルで生きようと決めている人たちに対する社会の強い反感を引き起こす場合もある。
どう考えても、伝統的な婚姻関係は、シングルの人たちを幸福にできるものとは限らない。まして政府の奨励によるものであれば、うまくいかない見込みのほうが高いだろう。
提言2「結婚以外の選択肢」を含む教育を
第二に、シングルの幸福を守り、向上させようとする政府や社会的機関は、シングルの周辺に大きく広まっているネガティブなステレオタイプと闘うだけでなく、幸福なシングル生活の研究と発展を積極的に奨励する必要がある(※5)。
1970年代前半以来、アメリカの学校カリキュラムは、ジェンダー、民族、環境についてのトピックを取り入れている(※6)。これらはすべて、誤解を打ち砕き、視野を広げ、これまで無視され、不利益を被ってきた人々に対する善意ある見方を促進するうえで価値のある試みだ。
しかしながら、結婚は社会的言説にあまりにも深く根付いているために、シングルの人生についての教育や、シングル生活への準備ができるような生徒たち向けのサポートは、ほとんどの国でいまだにおこなわれていない。