AIを使いながら「好きなことをとことんやる」時代に

私は、(読み書き計算などの)基礎を学ぶ以外の学習は、選択制にすべきだと考える。好きなことをとことんやる。それは子供たちが「学びが楽しい」と感じるきっかけをつくる。

そこで大切なのは、近くで見ている教師の言葉かけである。「そんなこと調べても将来役に立たないと思うよ」「ちゃんと勉強して」「それ以外の学習もしようか」などの声かけが、子供たちにとって学びをつらいもの、辛抱するものに変えているように感じる。

好きなことについては、とことん調べればよい。ChatGPTのような生成型AIを小学生でも使えるようになる未来はもうすぐそこである。テクノロジーを制限したり、廃止したりするのでなく、それと共存しながら、大人も描けないものを子供たちが作っていけばいい。

よく言われることであるが、計算機がある今でも、子供たちは紙と鉛筆で毎日計算している。計算機があるから計算できなくてもいいと考える人はいない。ChatGPTもそれと同じである。

精度が上がり、ChatGPTがすべて答えてくれる時代が来るかもしれない。しかし、その答えはいつまで経っても100%正しいとは限らないし、自分で考える力は、どんな時代になっても必要であると考える。

本のイメージをつかむにはChatGPTの感想文が有効

改めて、ChatGPTの読書感想文に戻ってみよう。「走れメロス」を読む前に、ChatGPTで読書感想文を書いてもらう。

撮影=プレジデントオンライン編集部
・友情や信頼、人間の強さについて書かれた本
・国の王様に陥れられた友人を救うために身代わりとなり、死刑を受ける覚悟で走り続けるメロスの話
・メロスとセリヌンティウスの友情は深まり、最後まで互いを信じ続けた
・自分自身に向き合い、強く生きるために必要なものを感じられる本

この4つの情報で、なんとなく内容のイメージができないだろうか? イメージができている状態で読む本は、とても読みやすい。何も知識がない状態で読む文章よりも、すらすら読むことができるだろう。

読書はとっかかりが難しい。これだけでもChatGPTを使うメリットがある。つまり、ChatGPTを使って0から1を生み出し、人間がこれを10にしていくのが、これからの時代の学び方になってくるのではないかと私は考える。