「豆や野菜からとる」はNG

「豆はヘルシーなタンパク源」というイメージを強く持っている方がたくさんいます。しかし、残念ながら、いくら大豆や大豆製品を食べても、タンパク質不足を解消する効果は薄いといわざるを得ません。

というのも、大豆に含まれる植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べると消化・吸収の効率が低いからです。

実際に、ある女性患者さんの血液検査をしたところ、タンパク質不足が見て取れました。そこで、「タンパク質が不足しているので意識的にとってくださいね」とお伝えしたところ、「え、どうしてなんでしょう? いつもタンパク質はすごく意識していて、豆腐や豆からしっかりとるようにしているのに……」と困惑されたことがありました。

写真=iStock.com/puckons
※写真はイメージです

「アミノ酸のバランス」がタンパク質の質を左右する

実は、「一般的にイメージされる健康的な食事」をしている人ほど、こうした罠にはまってしまっています。

しかも、大豆をたくさんとることで、ミネラル不足になりやすくなるというデメリットもあります。大豆には「フィチン酸」という物質が含まれており、これが鉄やカルシウム、マグネシウムといった重要なミネラルの吸収を邪魔する働きをしてしまうからです。

ちなみに、発酵の過程でこのフィチン酸は失われるため、納豆やみそなどの大豆製品の場合は、ミネラル不足になる心配はありません。豆腐は豆乳をにがりで固めた加工食品で、発酵食品ではありません。そのため、フィチン酸を含んでいるため、やはり食べ過ぎには注意してください。

同じタンパク質といっても、食品によってその質に大きな違いがあることは、あまり知られていません。その質の違いは、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸にあります。中でも、人間の体内で合成できないアミノ酸は9種類あり、それらを「必須アミノ酸」といいます。