再選を目指す長崎知事にとって正念場
「しかし、造成から40年を経た契約ですら山林原野当時の価格を基礎にする、という契約が一般の土地賃貸借契約に照らしてみても果たして合理性があるかどうか疑問。仮に、問題の県有地で交付金(固定資産税と同様のもの)を試算しても富士急行が支払ってきた賃料ははるかに廉価であることなど、控訴審で県側が『適正な対価』ではないことについて、いかに有効で説得力ある証拠を積み上げられるかがポイントでは。
その判断がくつがえれば、過去の裁判例からすれば、過去の契約が違法としてさかのぼって損害賠償が認められることになります」
折しも、山梨県ではすでに任期満了による知事選が1月5日に告示され、22日の投開票に向けて激しい選挙戦が進められている。再選を目指す現職の長崎知事が自民、公明の推薦を受け、新人で元笛吹市長の倉嶋清次氏(74)、新人で元山梨県議の志村直毅氏(53)の無所属3人が立候補。当然ながら、控訴の件も含めてこの訴訟が選挙戦でも大きな注目を集めており、焦点の一つにもなっている。
いずれにせよ、まさに引くに引けないチキンレースの様相を呈してきたこの争い。舞台を東京高裁に移した第2ラウンドからますます目が離せない。