半沢直樹も真っ青の逆粉飾決算が行われた
【森永卓郎】不動産は米国系の外資がほとんど持っていきましたし、当時世界最強の競争力を誇っていた日本の電機産業は中国や台湾に買われてしまいました。
日本経済を支えてきた大黒柱の産業を売り払ったのだから、日本経済が低迷するのは当たり前です。
そんなプランを、小泉・竹中・木村氏らが、あたかも正義の味方のような顔をして遂行していたのです。これが日本経済低迷の最大の原因だと思います。
【森永康平】私が少年時代を過ごした実家は所沢にありますけど、小さい頃地元のダイエーに行くと、ダイエーホークスの歌が流れていました。そのダイエーはその後破綻してしまいました。ダイエーの経営はすぐ潰れるような状態ではなかったのに、結局破綻処理されてしまったという記憶があります。
【森永卓郎】ダイエーは黒字だったんですよ。わずかな赤字を出した年もありましたが、潰す必要はありませんでした。
不良債権処理のターゲットとして狙われたから、破綻処理されたのです。
当時、不良債権処理を進めると、日本経済は回復すると言われていました。不良債権を持つ企業が銀行からの融資を塩漬けにしているので、そうした企業を破綻処理して資金を開放すれば、お金が中小企業に回り、一気に経済が良くなる、というわけです。
特に、流通・建設・不動産業界が不良債権処理のターゲットとなりました。こうした企業が駅前の一等地にいい不動産をたくさん持っていたからです。
彼らを追い詰め、不動産を二束三文で買うことができれば、買った企業は大儲けできます。
そんな中でも、UFJ銀行(当時)はダイエーを支援していました。しかし今度はUFJ銀行と東京三菱銀行との合併がしかけられました。
これは罠にはめられたようなものでした。半沢直樹も真っ青の世界です。
合併後の決算を見ると、不良債権の組み戻し益が1兆円近くも出ていました。
つまり、「不良債権」とされていたものの価値を再計算すると、もっと価値が高かったということです。
竹中・木村氏は、本来なら「正常な債権」とされるべきものを、片っ端から不良債権に計上していたということです。
いわば「逆粉飾決算」です。