妊娠のメカニズムを知ることが妊活の第一歩

第2条 女性の月経周期と妊娠のメカニズムを勉強すべし

妊活を妻だけの孤独な戦いにせず、夫も主体的に関わるためには、女性の月経周期と妊娠のメカニズムについて、男性もよく理解しておくことが重要です。妊活の第一歩は、セックスをすることではありません。妊娠のメカニズムを学び、どうしたら妊娠が成立するのかを知ることです。

男性の精液は、毎回濃度や運動率は異なりますが、無精子症でない限り、ほぼ毎回の精液に精子が含まれています。精子は女性の体内で数日~1週間程度生存することができます。すなわち、男性が1回でもセックスをすれば、相手の女性は妊娠する可能性があります。

一方、女性の場合は、セックスをしても妊娠しやすい時期としにくい(しない)時期があります。このことを理解するためには、女性の月経周期について知る必要があり、妊娠のメカニズムを知るためには、女性の月経について勉強しなければならないのです。

正常な生理(月経)の期間は3~7日間、25~38日周期でやってきます。一般的には28~30日前後が多いでしょう。周期の変動は6日以内が正常とされています。そして、通常1回の月経周期に1回の排卵(卵巣から卵子が放出されること)があります。その排卵の14日後に子宮内膜がはがれ落ちて、月経が始まります。

つまり、月経周期の変動は、排卵する時期の変動によって決まるということです。

裏を返せば、月経周期から排卵日が推定できるということになります。

女性はおよそ1カ月(1回の月経周期)に1回しか排卵しないので、その卵子が存在している時に精子が卵子に出会わなければ受精卵ができず、妊娠もしないのです。

しかも、卵子は排卵してから24時間しか生きられません。したがって、精子が1週間生きているとしても、理論上、女性が排卵する約1週間前から排卵後1日以内のセックスでしか妊娠できないのです。

排卵日は、病院などで検査をしない場合は、月経周期から推定するしかありません。月経周期も必ず一定とは限らないため、ピンポイントで予測することはできません。しかし、相手の月経周期を知ることで、妊娠しやすい時期を推定することは可能です。

男性は、女性から妊娠を目指してセックスをする日を指定してもらうのではなく、自分でも相手の月経周期から妊娠しやすい時期を推定して、積極的に狙いに行くようにしてください(狙うべき日はこの後の第4条を参照)。

写真=iStock.com/Prostock-Studio
※写真はイメージです

過度なプレッシャーは「排卵日ED」の原因に…

僕の診察室には「『今日は排卵日だからセックスお願いね』と妻から言われると勃たなくなるんです……」という男性が来ることが少なくありません。僕はこうしたケースを「排卵日ED」と呼んでいます。それほどに、男性のメンタルは繊細なものなのですが、僕はそういう男性たちには「自分で奥さんの排卵日を予測して、自分から積極的に狙いに行ってください」とお伝えしています。

人から言われるとやる気が出なくなるのに、自分で決めたことには一生懸命になれる、それがよくある男性の性なのです。自分から積極的にセックスに臨んでいくことで、排卵日EDも予防できると考えています。