そもそもヒトの骨盤は座るのに適していない

座り型のポイントは、股関節で身体を折り畳む(=ヒップヒンジ)ようにして、骨盤を立てて(=立腰りつよう)座ることです。そして、着座中はスタンスを広くしてアゴを引くことを意識しましょう。

立腰することで背骨をS状に保つことができ、上半身の重さを背骨の関節で支えることができます。その結果、脊柱起立筋や靭帯、椎間板への負担が大きく軽減されます。

座り型が整っている人は、両肩を真下に押されてもびくともしませんし、そのとき腰に怖さを感じることもありません。赤ちゃんや幼児の座り型は、お手本といえるくらい整っているのですが、それを可能にしているのは、立腰して骨盤の真上に頭部を保持しているからです。

一方、骨盤が後傾して猫背になっている人は、筋肉と靭帯と椎間板で上半身を支えているので、両肩を真下に押すと簡単に腰が丸まって、腰部に痛みや怖さを感じます。

そもそもヒトの骨盤の形状は、椅子や床に座るのに不向きな形をしているので、きちんとしたフォームで座らないとすぐに姿勢が崩れてしまうのです。

そこで、学校でも病院でもジムでも教えてくれない、腰痛にならない座り型のコツをご紹介します。最も重要なスキルなので、ぜひ習慣に取り入れて頂ければと思います。

ポイント①お尻ではなく骨盤で座る

座り姿勢を極めるためには、骨盤の形状を把握して、どこで座れば安定するのかを知っておく必要があります。

一般的に、坐骨の出っ張っているところ(=坐骨結節)で座ると思われがちですが、これは大きな間違いです。椅子メーカーや専門家でも誤解している人が多いのですが、坐骨結節で座ると骨盤が安定しないうえに、圧迫されている部分が痛くなってきます。

これに対して、「坐骨枝ざこつし」と呼ばれる平らな部分で座ると自然と骨盤が立ち、背骨をS状に保ちやすくなります。

坐骨枝というのは馴染なじみのない名称ですが、骨盤の開口部を形成する部分、簡単にいえば骨盤の台座といったところです。坐骨枝で座るコツを身につければ、どんな椅子でも立腰することができます。

股関節で身体を折りたたむようにして座る。着座中はアゴを引いて骨盤を立てる。(写真=『痛みが消えていく身体のつかい「型」』より)