「権限もなければ責任もとらない」職場の責任者

テレワークによる在宅勤務、あるいはサテライトオフィス勤務、モバイル勤務が定着すると、成果主義や同一労働同一賃金が実現し、新しい働き方の時代が来る、と述べました。

それは、同じように入社して、同じように給料を得るという今の仕事のスタイルはなくなってくる、ということでした。

そうすると、まず浮上してくるのは「権限と責任の明確化」です。

日本の企業では、各部署の部長、部長代理、課長などの役職の権限と責任の範囲が実に曖昧模糊もことしています。

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組織運営の要は権限と責任です。

それらがはっきりしていないと、一つの事業について責任を負う範囲が見えず、無責任体制が常態化します。

事業が失敗したり、問題が生じたりしても、「いや、自分にはその権限がないので」と責任逃れができます。

責任の範囲がはっきりしていないため、互いに責任を追及することもありません。

かくて誰も責任を取らないまま問題はうやむやになり、そのまま放置されることになります。そして、失敗を未来に生かす貴重な機会を自ら失ってしまいます。

権限と責任がはっきり決まっていなければ、職場の責任者の判断にブレが生じ、職責を果たすことができません。

権限もなければ責任もとらない、かたちだけの上司に部下は「これほど楽な職責はない」と従っていくことを喜びます。そうして組織の運営も、お役所同様の年功序列となるでしょう。

財政赤字や年金問題…日本社会全般にはびこる無責任体制

こうした無責任体制は、会社経営に限ったことではありません。

戦争責任から始まって、巨額の財政赤字や年金問題、核のゴミ問題などに象徴されるように、日本社会の全般にわたって、年功序列制の無責任体制がはびこっていくことになります。

その一方で、事業を決定した者、責任者が決まっていないため、問題が起きると、「誰がやった」「誰が決めた」と「悪者探し」が始まることになります。