経営学の眼●脱常識のマネジメントはどこまで進化するか
流通科学大学学長 石井淳蔵
意欲に溢れた店長と従業員による那覇新都心店の取り組みは、とても素晴らしいと思います。
もともと自分のレンタルビデオ店を持っていた増田宗昭CEOは、それでは成長できないと思い、商品を持たずに売れ筋・死に筋情報だけを提供する会社を立ち上げました。それがCCCで、その意味ではセブン-イレブン・ジャパンのレンタルビデオ版といえます。
CCCの店舗運営は現場の裁量性が高い。音楽や映像というクリエーティブな商品を扱うにはそのほうがよいとの判断でしょうか。
ただ、チェーンマネジメントの観点から見ると、現場で生まれた新しい知恵をうまく自社のシステムに取り込んで、他の店舗に展開し定着させていく部分が必要です。そうした点で、最も成功している事例がセブン-イレブンでしょう。
最近、同社では賞味期限に近い弁当の見切り販売が問題になりました。これは本部の担当者が店舗に「値下げされては困る」と強圧的に迫ったのが原因ですが、一方でそうした統制を本部が行うからこそ加盟店の標準化がなされ、効率的に店舗を運営できるのです。
この統制の問題を考えるうえで面白いのが、セブン-イレブンと同じ時期に創業したファルマという薬局のボランタリーチェーンです。
単品受発注のシステムをつくったファルマでは加盟店に対し、本部からの全量仕入れを強制しませんでした。そのため、加盟店は本部以外から仕入れを行い、本部は売れ筋・死に筋情報を把握できなくなりました。一方、セブン-イレブンは本部以外からの仕入れを一切認めていない。チェーンの成長に限れば、結果は明らかです。
店舗をどう標準化するか。CCCが今後さらに発展していくうえで、このチェーンマネジメントの常識が壁となるかもしれません。