スーツ、書籍、資格費用が「経費」になる可能性も

所得税の控除ではありませんが、特別支出控除というあまり一般の方には馴染みのない制度もあります。

今年、高価なスーツを新調した人はいませんか。そのスーツ、もしかしたら特定支出控除の対象になるかもしれません。これは、会社の経費では落とせないものの、業務上必要な出費があった場合、その金額の一部を控除できる仕組みです。

単身赴任中で、毎週末に新幹線で家族のもとへ帰っている人は、その交通費が当てはまる可能性があります。資格試験のための講座や受験料、仕事に関連するビジネス書、バッチリ決めなければならないときのスーツや、アパレル業の人が店頭で着るために購入する自社製品なども対象です。

特定支出控除は会社に申請する年末調整の対象外なので、サラリーマンも自分で確定申告をする必要があるものの、まとまった金額がポンッと返ってくるかもしれません。領収証をしっかり整理しておきましょう。

知らないまま損をするのはもったいない

今回は、セルフメディケーション控除や扶養控除の仕組みについて説明しました。

もちろん、“節税”対策は他にもあります。ふるさと納税とiDeCo(個人型確定拠出年金)はよく知られるところでしょう。ふるさと納税の今年分の申し込みは12月31日まで間に合うので、忘れていた人は急ぎましょう。

残念ながら、iDeCoは今からでは間に合いません。とはいえ、思い立ったが吉日。この記事を読んだ勢いに乗じて「えいやっ」とやっつけてしまうのがいいと思います。

ただでさえ慌ただしい年の暮れ、税のことを考える時間などないかもしれません。

でも、12月31日というタイムリミットが目前に迫りくるこの時期こそ、税金について考える、またとないチャンスです。

「知らないまま損をする」ことがないように、今からでもできることをしていきましょう。

(構成=ライター・奥地維也)
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